
2024年9月からイギリス、ロンドンの大学院に進学中のmujicoです
今回は、持病持ちでイギリス大学院留学をした私の経験談をもとに、持病持ちの方が留学を検討する時に考えるべきことについてお話ししたいと思います。
- 30代でSE兼キャリコン → イギリス大学院に在学中の純ジャパ女子
- イギリス大学院は3つ合格をもらう
- ロンドン UCLにて教育学を勉強中
はじめに(自分の持病について)
私は、2021年頃に潰瘍性大腸炎という診断を受け、現在も投薬治療を続けています。この病気は、日本では難病指定されているものの一つであり、原則完治というものはない病気です。
た私は幸いなことにそこまで重症の方ではなく、基本的な薬を毎日飲むだけで、他の方と変わらない生活ができています。とはいえ、健康な方と比較すると、色々と日常生活に支障がでることが多いのです。
例えば、1年の中で、症状が悪化する時期があり、その時期は、ひどい時だと、一日中家に篭らなければいけなかったり、ストレスによって症状が悪化しやすいので、ストレス要素をなるべく排除する必要性もあります。

実際に留学できるのか、できたとしてイギリス生活は大丈夫なのかとても心配でした…
そんな、自分でもなんとか1年間イギリスで大学院生活を送ることができました!
今回は、この生活を送るために行なったこと、考えていたことをまとめてお伝えしたいと思います。
イギリスの医療事情ってどうなの?
今までのプロセスを話す前に、そもそもイギリスの医療事情(NHS)について話そうと思います。

イギリスの医療システムって日本と比較して、あまり良くないって聞くけどどうなの?
シンプルに一言で表すとするならば、「とにかく公的な医療を受けるのに時間がかかる」という印象があります。
そもそも、イギリスの医療制度は、公的なものとしてNHS、そしてプライベート医療に分けられます。
NHS (National Health Service)
日本語訳だと、国民保健サービス
原則、イギリスに長期(6ヶ月)で滞在する人は、このサービスに加入が必須であり、ビザの支払い時にNHS代も支払うことで、滞在期間中は無料で医療サービスが受けることができる。
(from 外務省サイトより)
イギリスでは、このサービスが税金によって運営されており、国民は無料で医療サービスをうけることができます。
しかしながら、実際のところこのNHSはパンク状態。常に患者に追われており、慢性的な混雑状態にあります。
さらに、日本と違うのは、このNHSのサービスに直接患者側がアクセスできるわけではなく、GP(General Practice)と呼ばれるかかりつけ医に診断を受け、必要な患者のみNHSにアクセスができるという点です。
さらに、そのGPの予約も、場所によっては大変という場合も…

友達から、何週間も待たされたという話も聞きます
ですので、早く診察を受けるには、プライベート医療を活用する必要があります。こちらは、うって変わって、公的の範囲外で、私立病院にかかることです。
イギリスには、日系病院もいくつかあるのですが、こちらは全てプライベート医療になります。
日本語を使えて、便利ですぐに診察していただける心強い存在です。
しかしながら、その分、高額なものになります。
プライベート医療(ロンドン・日系病院の場合)
自分が診察を検討させていただいた某病院では、初診が270ポンドほどでした(5万5000円ほど)
それ以外にも、処方箋などもろもろかかるため、最終的には、300-400ポンドほどになるのではと思います
この金額をポンッと出せる方なら大丈夫だと思いますが、なるべく保険に入って、保険適用でプライベート医療にもアクセスできるようにしておくことが大事かなと思います!
留学前の準備

① 病院にアクセスしやすい場所を留学先として選ぶ
私は、留学先の場所選びの際、「病院へのアクセスのしやすさ」を優先事項の一つとして挙げていました。
何かあった時に、すぐに病院にアクセスできるというのは、心理的にも安心材料になります。
イギリスですと、勿論「ロンドン」が第一候補に上がってくると思います。
その他、イギリス都市部(マンチェスター・エディンバラなど)でも多くの病院があるため、安心できるかと思います。

私は、この医療へのアクセスの重要視して、ロンドンへの留学を決めました
②医師への相談
持病持ちの方は、かかりつけのお医者様がいらっしゃると思いますので、そのお医者さんになるべく早く留学について相談をした方がいいと思います。
実際に、留学できるのか、できるとしたらどのような条件下が最適なのかを、医師のアドバイスの元考えることは非常に重要です。私の場合は、寮のアドバイスなど受けました!
また、大学決定後のプロセスの際に、Disability(ハンディキャップを持つ人・持病も含む)を持つ人たちは、優遇措置もあります(詳細は、別項目で記載します)。
その証明書などを、かかりつけの医師に記載いただく必要もあるので、なるべく早く相談して、そのようなお話しも事前にお伝えしておくとスムーズに事が進むと思います。
③大学側へDisabilityの申告をする
これは、大学側にもよるのですが、私の場合(UCL)は、合格後の各種プロセスにおいてDisabilityがあるかどうかの申告項目がありました。
これは、例えば寮の申請の際に、Disabilityを持つ学生が優先的に希望の寮に割り当てられたりするためです。
持病持ちの方は、きちんとしたサポートを受けるためにも、申請した方がいいかと思います。

大学によっては、Disabilityの方向けの奨学金などもある場合もあります!
この申請のためには、医師が英語で記載した証明書を大学側に提出する必要があります。
医師のサインなどが必要なため、主治医に相談の上、資料を作成し、大学側へ提出をしてください。
④投薬の持ち込み・現地調達について検討する
これは、飲まれているお薬がある方向けですが、薬を大量に海外に持ち込む場合は注意が必要です。
そもそも、日本の場合ですと、最大で出せるお薬の量は3ヶ月の場合が多いと思います。
それ以上の留学を検討している場合は、複数回に分けて、お薬をいただけるように調整をするか、現地でも同じ薬をゲットできるようにするかを検討する必要があります。この辺りは、医師と相談するとともに、実際に持ち込みが可能な薬なのかをご確認いただく必要があります。
※この辺は、専門家ではないので、申し訳ないのですが実体験ベースのお話しです。詳細は医師・薬剤師の方にご相談ください
私は、投薬の薬を持ち込む際、英文の薬の説明書・調剤証明書を持っていきました。
医師にも相談して、実際に処方してもらっている薬の英語名を証明書に記載していただき、それを見せれば現地で薬をもらえるようにしていました。

自分のスーツケースの1/6が薬で埋まりました…
実際に、空港などで説明書や証明書を見せる機会はなかったものの、安心感はあったので、必ず持っていくことをお勧めします!
⑤留学保険の加入を検討する
持病を持っている方は、留学保険で加入できるものも結構少ないと思います。しかしながら、保険は加入しておいた方が安心だと思います。
先ほども、記載した通り、イギリスの公的な医療制度だと、すぐに見てもらえない事が多く、持病を持っている方にとっては不都合な場合が多いです。私は、保険加入して、プラベートの医療も使えるようにしておいたので、安心できました。
私は、保険ウィズさんにお世話になりました。
持病を持っている人向けのプランを提供されている保険会社さんです(PRではありません!)
もし持病持ちで留学を検討されている方がいらっしゃいましたら、相談してみてもいいかなと思います!
留学中の対応

⑥大学の相談窓口へ相談する
実際に、大学院留学が始まったら、なるべく早めに大学の相談窓口に行くことをお勧めします。
私の場合は、事前にDisabilityの申告をしていたので、UCL側からメールが来て、「大学側へあなたのDisabilityについて相談したければ、ここの窓口に相談してね〜」というURLが来たので、そのまま申し込みをし、セッションを受けました。
そこでは、実際の自分のDisabilityの詳細を元に、大学側がどのような支援を提供してくれるかを伝えてくれるセッションでした。
私が説明を受けた支援例)
– 体調不良で授業を途中退席する場合は、特に申告もなく退席が可能
– 課題の提出期限を無条件で2週間先延ばしにできるような措置を自動で設定
このようなサポートは、実際に大学側と相談して決めますし、その相談先は、自分の学部や近い大学のスタッフではなく、完全に独立した部門との相談なので、やりやすかったです。

自分の持病を、大学側が把握してくれると、心理的にも安心ですよね
⑦GPへ相談する
GPへの相談は任意だとは思いますが、説明しておくと楽だと思います。
自分の住む場所の最寄りのGPをかかりつけ医に登録したあと、最初にGPに向かう際に、持病について説明をしておくことで、お薬の対応ができたり、何かあった時にすぐ状態を把握した上で診察してくれるので心強いと思います。
私は、相談をする前に、いろいろと病気になってしまって先立ってGPを受診したのですが、その際に説明をしました。
このGPへの相談の際は、主治医に書いてもらった英文の診断書を持っていくと便利です。
⑧大学側から受けられる支援を把握して、すぐ使えるようにする
⑥でも大学側に相談するという項目を入れましたが、あくまでこの相談は入学してすぐのワンセッションのみの提供となります。
そこで受けた説明をきちんと把握しておき、それ以降、たとえば体調が悪くなった時にすぐにアクションが取れるようにしておくことが重要です。
UCLにおける各種支援
UCLが提供する支援については以下のサイトにまとまっています。
Support and Wellbeing Services: https://www.ucl.ac.uk/students/support-and-wellbeing-services
たとえば、ここには、ホットラインとして24時間365日電話可能な電話番号が記載されていたり、課題の提出や出席に影響する場合、どのように連絡を取ればいいかなどが載っています。
このような情報は、自分の体調が悪くなった時には確認しづらくなってしまうので、確認して、自分のわかりやすいところに書いておくと便利です!
実際に留学中はどうだった?
自分は、持病の性質的に、体調が悪くなる時期があり、その最中は、大学側もそうですし、GPにもその先のNHSにもお世話になりました。

お世辞にも、1年間元気で過ごせました!とは言えません…
その時は、とても大変でしたが、幸いにもGPもNHSも迅速に見てもらうことができ、大学側からも診察書を提出することで、課題の期限延長の措置をいただきました。友人たちのサポートも本当にありがたかったです…(泣)
このようなたくさんのサポートのおかげで、無事に1年間、大学院留学を走り切ることができました。
終わりに
今回は、持病持ちのmujicoが、イギリス大学院留学に向けて準備したこと・留学中におこなったことを紹介しました。
持病を持っていても、きちんと準備をして万全な体制を整えれば、留学自体は可能でした!
もちろん体調不良が続いてしまったり、持病がひどくなる時期だとなかなか外にでることができず、塞ぎ込んでしまったり、みんなが楽しんでいる授業を逃してしまったりと、いろいろ悔しい経験もしました。
しかし「持病があるから」という理由だけで留学を踏みとどまるのは、勿体無いと思います。
他の人よりも、少し準備も必要ですし、お金も必要になるかもしれませんが、医師との相談の上、留学可能な方は、ぜひ留学にチャレンジしてほしいと思っています。
イギリスは、もちろん医療制度に問題はありつつも、先進国の医療を受けられる安全な国でもあります。大学側も、病気を含むDisabilityを持つ学生に対して、とても手厚いですし、そんなフルサポートを受けながら、外国で頑張るのも、とても得難い経験になると思います。
もし、持病持ちの方で、留学を検討されている方、気になることがあれば、ぜひコメント欄で教えてください!
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