イギリス大学院の「Conversion Course」とは？

今回は、イギリス大学院のコースタイプの一つである「conversion course」について説明しようと思います。

Conversion Courseとは？

conversionコースという言葉は、あまり日本では聞き馴染みのないものだと思います。
British CouncilのHPには、以下のような記載があります。

A conversion course is a vocational postgraduate qualification usually taken by graduates who want to change their subject area following on from their first degree. Often students do this to develop more professional skills. For example, you could study history for your undergraduate degree and do a law conversion course to begin your career as a lawyer.

https://study-uk.britishcouncil.org/plan-studies/ways-learning/postgraduate

意訳すると、「学部時代に学んだ内容と異なる専攻を学びたい人向けに、職業に役立つ修士資格を取得できる」ものということです。

例として、歴史学を学んでいた人が、法律関連のお仕事をするために、法学部のconversion courseに行くなどが挙げられます。

実は、イギリスにはこのような「キャリアを転換するためのコース」があります。
以下の学問で、conversion courseが存在します。いずれも専門性が少し高めの学問が対象となっています。

Conversion Courseと他のコースの違い

概略はこんな感じなのですが、実際に普通の学部とはどのような点が違うのでしょうか？

私が実際に、オファーをもらったPsychologyのConversion Courseを例にとって、Conversionと普通の学部の違いを説明しようと思います。

その１- Entry Requirementが違う

大学院のコースに出願するための条件である「Entry Requirement」。まずこれが普通の学部とconversionでは異なります。

特にMSc（理系学部）に多いのですが、Entry Requirementの中で、学部生時代に同じコースを学んでいることを条件にされることがあります。
特に、私が学ぼうとしているPsychologyのコースでは、学部生でpsychology関連の学位を取得してることを条件にしているものも多いです。

例えば、York大学の「MSc Development, Disorders and Clinical Practice」のEntry Requirementには以下のような記載があります。

2:1 or equivalent in Psychology or a related discipline such as Education, Linguistics or Speech and Language Therapy
（2:1の成績の心理学、または教育学、言語学、言語セラピー学の学位を持つもの）

https://www.york.ac.uk/study/postgraduate-taught/courses/development-disorders-and-clinical-practice-msc/#entry

しかし、conversion courseは先ほども述べた通り、「学部でその学問を学んでいない、キャリアチェンジしたい方向け」のコースです。
よって、conversion courseでは、entry requirementで「any subject」と書かれているパターンが多く、門戸が広く開かれています。

同じくYork大学の、Conversion Course「MSc Psychology in Education」のEntry Requirementをみてみましょう。

2:1 or equivalent in any subject. Preference will be given to candidates who can demonstrate relevant previous academic or work experience in a related field eg education / psychology in education / research skills.

（2:1の成績の全ての学位。できれば関連する学問や教育や心理学、研究分野での職業経験がある人が望ましい）

https://www.york.ac.uk/study/postgraduate-taught/courses/msc-psychology-education-conversion-programme/#entry

Psychologyのコースですが、どの学部からでも応募できるとなっています。
まさに、学部時代と違うことを学びたい方にはピッタリのコースとなっているのです。

その２ – 学ぶ内容が違う

多くのConversion Courseでは、注意書きとして「学部時代にこのコースを学んだことある人向けではありません」と書かれています。

この理由は、conversion courseでは、学部時代に学ぶべき内容も包括的に学ぶからです！

よく修士（master）では、学部とは違い、より深い内容をしっかり学ぶようなイメージを持たれると思います。実際に、多くのコースで、研究や論文が必須となっており、自分の研究領域をしっかり見定めた上で、学習していくことが必要です。

しかし、conversion courseでは、少し異なります。
conversion courseを受けている多くの人は、背景となる知識が不足しているため、その学問で一般的となっている知識もしっかり勉強できるprogrammeになっていることが多いのです。

もちろん、その中でも１つ自分の興味を持って深く研究していくことが求められますが、一般的なコースと比べた場合、ジェネラルな知識が多めになるのがこのコースとなります。

Conversion Courseの見つけ方

では、実際に自分が学びたい内容が学部時代と異なっており、conversion courseで学びたい！となったら、以下のような方法で探してみるといいと思います。

検索で ○○（自分の学びたい学問） + conversion + UKで検索

まずは、自分の学問でconversion courseがあるのかを探してみるのが良いと思います！
例えば、psychology conversion ukと検索すると以下のようにたくさんの情報が出てきます。

これを片っ端から見ていくことで、自分にあったコースを見つけることができます。

Psychologyであれば…BPSの公式サイトから探す

BPSとは、英国心理学学会というイギリスの心理学界における最大規模の団体です。

この団体が認定している心理学のコースを以下のサイトから検索することができます。
認定コースでは、イギリスの心理学資格を取得できます。多くのコースでこの資格取得が可能です。かなりメジャーな資格と言っていいとおもいます　。
https://portal.bps.org.uk/Accredited-Courses

私はこのページに結構お世話になりました。
細かく絞り込みができるので、心理学を学びたいという方がいれば、利用してみることをお勧めします。

とはいえ、この団体が認定していない心理学コースもあるため、注意です。

心理学ではなくても、協会や学会などが提携しているコースがある場合は、そのHP経由でコース一覧などが見れる可能性があるので、一度自分の行きたい分野で検索した後は、そのような団体がないかも確認してみることをお勧めします。

終わりに

以上のように、Conversion Courseは、学部とは違う学問を学んで、キャリアチェンジを望んでいる方にお勧めなコースです。

私は、コースを検索しているときに、このコースタイプに出会い「私に合ってるのはこれだ！」と思い出願しました。
あまり日本語だと情報が出てこないので、もし検討してるよ！や実際にコースで学んだよ！という方がいれば、ぜひコメントくださると嬉しいです。